自分でも申請OK!空き家解体後に絶対必要な「建物滅失登記」とは?
空き家になっている実家を解体することに決めたけれど、建物の解体後にも必要な手続きがあることをご存知でしょうか?
それは「建物滅失登記」の申請です。
しかも、この建物滅失登記の申請は解体後1ヶ月以内に手続きをしなければなりません。しかし、この建物滅失登記の申請、実は自分たちでも簡単に手続きできるものなのです。
もちろん難しければ代理人に依頼することも可能ですが、特に自分たちで申請すれば費用の節約も可能に。
そこで今回は、建物滅失登記の手続きについて
- 必要な書類
- 手続きする場所
- 手続きにかかる費用
などを詳しく解説していきたいと思います。
自分でも申請できるって本当?建物滅失登記について解説します
そもそも建物滅失登記とはどういったものなのでしょうか?まずは要点を押さえていきましょう。
「建物滅失登記」とは
建物滅失登記とは、その名のとおり建物がなくなった=滅失したことを登記簿に登録するための手続きのことをいいます。
そもそも「登記」とは、不動産や法人などの権利関係を明確にするために作られた制度です。
例えば現在A土地の所有者が誰なのか分からなければ土地の売買もままなりませんよね?残念ながら世の中には人をだまして儲けようと考える人もいるので、しっかりと所有者の記録がないといけないのです。
そのように考えると、存在しないはずの建物が登記簿上では「存在」するとなれば後々混乱が生じるかもしれません。
そのようなことを防ぐために必要な手続きが建物滅失登記なのです。
登記を自分でも申請できるのは本当か?
登記を専門家に頼まずに自分で行う人もいます。
基本的に登記は司法書士や土地家屋調査士といった専門家に依頼するのが一般的。そもそもなぜこういった専門家に依頼する必要があるかというと、登記の手続きにはさまざまな法律の知識や専門的なルールが必要となるので、一般市民が自分たちで手続きするのはなかなか難しいといった面があるからです。
しかしこの「建物滅失登記」に関していえば、他の登記と比べても手続きがそこまで複雑ではありません。そのため自分でも申請できるというのは本当なのです。
ただ建物滅失登記に関しても人によっては難しく感じる人もいるでしょうし、忙しくて手続きできる時間がないという方もいます。
そういった方は無理に自分たちで手続きしようとはせず、専門家へ依頼する方が良いでしょう。
手続きを怠るのは危険!建物滅失登記の申請をしないとどうなる?
建物滅失登記をしなければいけないとわかっていても、解体作業後の手続きの中でうっかり登記の申請を忘れてしまったり怠ってしまったりといったケースも考えられます。
そこで建物滅失登記を行わない場合の4つのデメリットをご紹介していきましょう。
建物滅失登記を怠った場合に考えられる4つのデメリットはこちらです。
- 払わなくてもいい固定資産税を払い続けることになる
- 建て替え・土地の売買等ができなくなる
- 10万円以下の過料に問われることがある
- 相続のときに大変になる。
まずデメリット①は税金が発生するということ。
建物滅失登記をしなければ、国としては建物が存在しなくなったことに気が付きません。
その結果どのようなことが起きるのかというと、存在しないはずの建物に固定資産税が課税されてしまうのです。
そのため、建物を取り壊したならすみやかに法務局へ届け出るようにしましょう。
次にデメリット②「建て替えや土地の売買等ができなくなる」という点について。
建物滅失登記を完了させていないと登記簿上はまだ住宅が存在することになりますよね。
その土地へ新しく住宅を建て買えたり土地を売買するといったことができなくなる他、金融機関からも融資を受けられないといったデメリットも存在します。
つまり更地にしたあとの土地をどうすることできず、ただ放置する他ないのです。
またデメリット③は10万円の過料に問われるというもの。
登記には届け出る義務があり、その義務に違反するということで10万円以下の過料に問われる可能性があるのです。
そして最後のデメリット④ですが、建物滅失登記を行わず放置しておくと相続のときに大変になります。
というのもその土地・建物を所有していた方が亡くなった場合、その方の戸籍(出生~死亡まで)をすべて取り寄せなければなりません。
また時間が経つことでいつ・どこの解体業者に建物の解体を依頼したのかさかのぼれなくなってしまうことも。
被相続人のことも考えると、解体を依頼した方が建物滅失登記まで完了させた方が良さそうですね。
自分でやれば費用の節約に!建物滅失登記申請の流れや必要書類を解説
空き家の解体費用はだいたい地域相場や住宅の構造により値段が決まってきます。
つまり、解体費用をできるだけ節約したいなら、手続き代行料といった諸費用の部分を節約するのがおすすめ。
ここでは自分で建物滅失登記を行うまでに必要な書類や手続きの流れなどについてご紹介したいと思います。
建物滅失登記の申請手順とは?
ここに建物滅失登記の要点をまとめてみました。
いつまでに? | 解体後1ヶ月以内 |
---|---|
誰が申請する? | 建物の所有者または相続人 |
どこで手続きする? | 空き家の土地がある地域を管轄する法務局 |
手続き方法 | 窓口または郵送 |
手続きの申請は建物の解体後1ヶ月以内となっているので、余裕を持って申請するようにしましょう。
手続きを行う場所は土地がある管轄の法務局です。
書類に不備があると受理されないので直接窓口へ行き手続きする方法をおすすめしますが、
- 法務局が遠方にある
- 忙しくて時間が取れない
といった場合には郵送でもOKです。その場合には(登記完了証明書が送られてくるので)忘れずに返信用封筒を同封してください。
また提出書類の原本を返却してもらいたい場合は、コピーも一緒に添付するようにしましょう。詳しくは法務局へお問い合わせください。
申請に必要な書類は?
次に登記に必要な書類をご紹介します。
申請に必要な書類をリストアップしてみました。
- 建物滅失登記申請書
- 建物滅失証明書
- 解体業者の資格証明書または登記簿謄本など
- 解体業者の印鑑証明書
- 登記簿謄本もしくは登記事項証明書
- 住民票の写しや戸籍の附表
- 案内図
- 委任状
やっぱり難しそうだなと思った方、安心してください。
登記簿謄本もしくは登記事項証明書に書いてある内容を登記申請書に記入し、あとは解体業者から解体滅失証明書等をもらうだけ。
住民票の写しや戸籍の附表などは、氏名と住所が一致しない場合に添付します。特に物件を相続した時には当てはまりますね。
また法務局によっては案内図が必要な場合もあります。これは実際に土地が更地になったのかを確認するためのもので、googleマップでもOKというところも。
法務局ごとに対応が異なることもありますので、ご不明点はあらかじめ法務局へお問い合わせの上、申請することをおすすめします。
さて気になる登記費用ですが、自分で手続きする場合は基本的に書類の郵送代もしくは法務局までの交通費のみ。(ただし登記簿謄本等を発行する場合は1通1,000円かかります。)
ちなみに専門家へ依頼する場合は3万円~5万円が報酬の相場となっています。
専門家に依頼する場合は司法書士or土地家屋調査士?
先ほどもご説明しましたが、建物滅失登記を代行できる専門家は土地家屋調査士です。
ここで、登記の代行と言えば司法書士を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?例えば住宅ローンを組むときに設定する抵当権設定登記は、司法書士に依頼する方がほとんどですね。
しかし、建物滅失登記に関しては司法書士ではなく土地家屋調査士に依頼することになります。なぜなら司法書士ですと権利に関する登記はできるのですが表題登記はできないからです。
ここでは、建物滅失登記を頼む場合は土地家屋調査士だということを覚えておいてください。
建物滅失登記は解体後1ヶ月以内に手続きを。忘れずに申請をしよう!
ただ必要書類が揃っていないと受理されません申請期限も1ヶ月となかなか短くなっています。そのため解体業者とのやりとりの中であらかじめ書類を用意してもらうように伝えておくとスムーズです。
もし登記を忘れてしまうと存在しないはずの建物に固定資産税がかかり続けたりなどといったデメリットもあるので、忘れずに手続きするようにしたいですね。